よくあるご質問

※質問をクリックすると説明にリンクします。

※回答はページ下にあります。まとめてご覧になりたい場合は下までスクロールしてください。

<1.入れ歯、義歯、差し歯>

1-1 入れ歯( =義歯)とブリッジ、差し歯はどうちがうのでしょうか?

1-2 義歯は就寝時外すしたほうがよいのでしょうか?
1-3 歯がグラグラして咬めない。全部抜いて総入れ歯にしたほうが良く咬めるのでは?

1-4 入れ歯は、壊れたら作りかえないといけないのでしょうか?

1-5 義歯を固定する金具が目立ってしまいます。何か改善する方法はありますか?

 

<2.タバコと歯周病>
2-1 歯周病とはどのような病気ですか?
2-2 タバコは歯肉のために良くないのですか?

<3.インプラントについて>
3-1 インプラントのメリットはどのようなことでしょうか?
3-2 インプラント手術に危険はないのでしょうか?
3-3 インプラントをすればよく咬めるようになりますか?
3-4 インプラントを長持ちさせるために大切なことはありますか?

<4.保険診療と自費診療>
4-1 歯と同じような色のかぶせ物は健康保険がきかないのですか?
4-2 健康保険の範囲で作る入れ歯と自費診療で作る入れ歯の違いは?

<5.歯を削る、神経をとる、歯を抜く>
5-1 既に金属のかぶせ物がしてある歯が虫歯になっていると歯医者さんで言われました。どうして一度かぶせても虫歯になるのでしょうか?
5-2 磨いても磨いても虫歯になるのはどうしてですか?
5-3神経を取ると歯が弱くなると聞きましたが本当ですか?
5-4「親知らず」は必ず生えてくるのですか?生えてきたら抜かないといけませんか?

 

<6.口臭について>
6-1 口臭の原因はどういう物質ですか?
6-2 歯垢(=プラーク)は口臭の原因ではないのですか?
6-3 消化器系の病気になると口臭がでると聞いたことがありますが?
6-4 実際には口臭が無いにもかかわらず、自分の口臭が気になってしかたないと感じる状態があると聞いたことがありますが?

<7.妊娠と歯科治療について>

7-1 妊娠と歯科治療について教えてください
7-2 妊娠と歯科治療に使われる薬について教えてください
7-3 妊娠中にみられる歯科疾患
7-4 授乳と歯科治療について教えてください

<8.その他>
8-1 上の歯の虫歯が原因で下の歯が痛んだり、頭痛がするのはどうしてですか?
8-2 酒飲みは本当に麻酔が効きにくいのでしょうか?
8-3 自費治療の料金について教えてください。

<1. 入れ歯、義歯、差し歯>

1-1 入れ歯( =義歯)とブリッジ、差し歯はどうちがうのでしょうか?

 

入れ歯(義歯)

一般的には“取り外しのできるもの”を指します。
針金状の金具やマグネット(磁石)で残っている歯に支えてもらうタイプです。

 

総義歯は支える歯がありませんので、歯肉の凹凸や義歯による吸盤様の力によって支えられます。
残っている歯を削ることが少なく簡便ではありますが、違和感(口の中が狭くなる、発音しにくい、食べ物がひっかかる等)を訴える患者さんが少なくありませ ん。

 

基本的な義歯は健康保険で製作可能ですが、義歯の厚味を薄くして違和感を少なくしたり、金具の目立たない義歯、より適合の良い義歯は保険以外になります。

 

下図:義歯写真(クリックすると大きく表示します)

ブリッジ

義歯と違い、残っている歯(支台歯と言います)に接着剤で固定してしまう方法です。

例えば、右下の奥歯を抜歯して失ってしまった場合は、その両隣の歯を支台歯にします。

 

一般的には入れ歯より違和感が少ないと思われますが、ブリッジを固定する歯に咬む力の負担が余計にかかりますので、原則としてはグラグラしている歯は支台歯にはふさわしくない場合が多いです。
また、その両隣の歯がまだ削っていない健康な歯の場合、それを削らないといけないという短所があります。

 

また、健康保険で治療可能なブリッジと、そうでないブリッジがあります。

 

下図:ブリッジ写真(クリックすると大きく表示します)

差し歯

差し歯というのは正式用語ではないのですが、患者さんがおっしゃるのを総合すると、金属やセラミックの被せ物のことを指しているようで、正式にはクラウン(歯を全部覆うもの)やインレー(歯を一部分覆うもの)などと呼びます。

1-2 義歯は就寝時外したほうがよいのでしょうか?

 

色々な考え方があるようですが、私は原則として就寝時には外していただくことをお勧めしております。理由は、就寝時は唾液の分泌が少なくなるため、細菌の数が増えて、お口の中が不潔になるからです。

 

ただし、義歯を入れていないと残りの歯に負担が重くなりすぎる場合ほか、就寝時に義歯を入れたままのほうがよい場合あります。
ケースバイケースと言って良いでしょう。

1-3 歯がグラグラして咬めない。全部抜いて総入れ歯にしたほうが良く咬めるのでは?

どの程度の“グラグラ”なのかによっても見解が異なると思いますが、原則としては、抜かないで残せる歯は義歯を安定させるのに使えるので簡単には抜かない方がよいと思います。

 

総義歯は、当然のことながら義歯を支える歯がないわけですから食べている時に落ちてきたり(上の義歯)、会話していると浮かび上がってしまったり(下の義歯)というトラブルもありえます。

1-4 入れ歯は、壊れたら作りかえないといけないのでしょうか?

 

必ずしもそうではありません。
気に入っている慣れた入れ歯であれば、以下の写真のように何度も修理して長い期間使っていただくことも可能です。
もちろん、修理不能な場合もありますし、咬み合わせの点から新しく作り直したほうがよいこともあります。

 

下図:修理すれば長期間の利用が可能(クリックすると大きく表示します)

1-5 義歯を固定する金具が目立ってしまいます。何か改善する方法はありますか?

 

確かに、前歯に金具がかかると目立ちますよね。
いくつか方法がありますが、一番分かり易いのは金具の代わりに特殊な樹脂を使う方法です。

下図:特殊な樹脂を使用した例(クリックすると大きく表示します)

<2. タバコと歯周病>

2-1 歯周病とはどのような病気ですか?


歯と歯肉の境目あたりに付着した歯垢(=プラーク)中の細菌が、歯肉と歯の根っこの間の線維(歯と歯肉をくっつけている線維)を壊しながら侵入して行き、そこにまた種類の異なる細菌が繁殖して、さらに深く進んで歯の根っこと歯を支える骨も失わせてしまう病気です。

 

細菌が出した毒素だけでなく、細菌を殺して体を守る目的で集まってきた免疫細胞が出した物質が歯肉や骨を破壊する一面もあります。

2-2 タバコは歯肉のために良くないのですか?


タバコは、歯周病をより悪化させる因子 (歯周病の原因はお口の中の細菌です)の中でも、かなり上位にランクされます。


細菌を殺したり食べたりして身体を守ってくれている白血球の機能を弱める他、タバコの成分は歯肉に様々な害を及ぼしますし、喫煙者は歯周病治療に対する反応も悪いことが多いです。

<3. インプラントについて>


3-1 インプラントのメリットはどのようなことでしょうか?


例えば、歯を一本失ってしまったとします。ブリッジは両隣の歯を削らないといけません。もう既に削ってあって金属などが入っている場合は別ですが、まったく健全な歯だった場合、削るのはとてももったいない。

 

インプラントなら、両隣の歯を削るのを回避できます。
取り外し式の義歯の場合、違和感の問題、発音の問題、金具をかけた歯に負担をかけてしまうなどの問題が生じますが、インプラントはそれを回避できます。

3-2 インプラント手術に危険はないのでしょうか?

 

通常の外科手術が可能な健康状態の患者さんであれば、特に危険はありません。
もちろん、術前、術中、術後のすべてのプロセスにおいて、担当歯科医が基本に忠実にしっかりとした処置やケア、患者さんへの説明をすることが大切です。

3-3 インプラントをすればよく咬めるようになりますか?


取り外し式の入れ歯よりは、ずっと良く咬めると思います。患者さんのほとんどは自分の歯のように咬めるとおっしゃいます。

ただし、奥歯の場合、インプラントに過度な力がかかるのを防ぐため、また患者さんが清掃しやすい形にするために、咬合面(ものを咬む部分)の幅をもともとそこにあったご自分の歯より狭くすることが多いので、インプラント治療が終わって “これで固い食べ物もガンガン食べられるぞ”と大きな期待をよせていた患者さんには、最初は物足りない感じがあるかもしれません。

3-4 インプラントを長持ちさせるために大切なことはありますか?


インプラント周囲を清潔に保つような毎日の口腔清掃と、定期的な検診を受けることに尽きると思います。

 

ご自分の歯だって清潔にしていないと虫歯にも歯周病にもなるのですから、いくら生体になじむ金属チタンを使っているからといって異物は異物です。

歯科医サイドが、患者さんが清掃しやすい形にすることも重要です。

<4. 保険診療と自費診療>


4-1 歯と同じような色のかぶせ物は健康保険がきかないのですか?


必ずしもそうではありません。
真ん中からかぞえて三本目の糸切り歯(犬歯ともいう)までは、健康保険でも歯に近い色のかぶせ物(硬質レジン前装冠)が可能です。でも、より天然の歯に近い色合いを求めたり、土台となっている歯とかぶせ物との適合性(ぴったりしている度合い)を向上させるには自費診療となります。

真ん中から四番目の歯(第一小臼歯といいます)から喉側の歯(奥歯)は、保険診療の場合は原則として銀色の金属のみになってしまいます。従って歯と同様の色にするには自費診療になります。

4−2 健康保険の範囲で作る入れ歯と自費診療で作る入れ歯の違いは?

 

装着感、安定度、見た目などなどさまざまな違いがあります。
 
保険の範囲で作れる入れ歯の場合、床(しょう、と読みます)というプラスティック部分には数ミリの厚みがあり、それは違和感や発音のしにくさの一因となるでしょうし、食べ物が入れ歯と歯肉とのすきまに入ってしまう場合もあるでしょう。


自費診療でそのプラスティック部分の一部を金属に換えることで、はるかに薄くなりますので、違和感は減少しますし、熱い物を召し上がった時にその食物の温度を感じ取れるので、保険の入れ歯より、おいしく食べられるとおっしゃる方もおられます。

保険の入れ歯ですと、クラスプと呼ばれる金具を歯にひっかけて入れ歯を保持するわけですが、自費診療ですとクラスプ以外にも、例えば磁石(じしゃく)を使ったり、入れ歯を動きにくくする構造にしたり装置を組み込んだりでき、それは入れ歯の安定につながります。また、クラスプを使わないことで審美性(見た目)も向上させることができます。

自費の入れ歯は型の取り方や型を取るのに使える材料も、より精度の高いものを使用できるので、適合性も良くなります。

ただし、保険の入れ歯が悪いというわけではありません。
私のクリニックで日常的に作る割合は保険の入れ歯のほうが多いかもしれません。


特に初めて取り外し式の入れ歯を作られる患者さんには、まずは保険の入れ歯を作られることをお勧めしています。

 

その入れ歯で十分ならそのままお使いいただければよいし、ダメであれば「どこがダメなのか。どのようにすれば良くなるだろうか」をその入れ歯をもとに患者さんと私とで話し合い、お互いの意見や考えの反映された自費診療の入れ歯を作ることができるからです。

<5.歯を削る、神経をとる、歯を抜く>

 

5-1 既に金属のかぶせ物がしてある歯が虫歯になっていると歯医者さんで言われました。どうして一度かぶせても虫歯になるのでしょうか?

歯の一番外側部分はエナメル質といって、固くてつるつるしており、実は虫歯になりにくい部分です。それに対し、エナメル質の内側にある象牙質はエナメル質より柔らかく、いったん虫歯菌が悪さをし始めると虫歯の進行が速い部分です。

 

歯を削るということは、歯を守っている鎧(よろい)のようなエナメル質を削り取ることになりますから、かぶせ物と歯の境目から再び虫歯が始まった場合、とても進行しやすくなるように思います。


特に神経を取ってしまった歯の場合、再び虫歯になっても“水がしみたり”“痛くなったり”というような症状がでにくいので、知らないうちに進行してしまうことがあります。


以上のようなことから、歯を削る場合は必要最低限にとどめるべきであると考えます。

5-2 磨いても磨いても虫歯になるのはどうしてですか?

こんなに良く磨いているのに、、、とがっかりしてしまいますよね。

虫歯は、細菌(虫歯菌)+食べ物(糖分、特に砂糖)+宿主(人間)という三要素に「時間」の要素が加わってできる病気です。
宿主というのは、虫歯菌が住んでいる人間そのもの、具体的には例えば唾液の量と質、フッ素を使っているかどうかなどです。

今ではだいぶ一般にも知られるようになりましたが、虫歯菌というのは、生後19ヶ月〜31ヶ月の間に保護者(主として母親)のお口の中からお子様に感染することが分かっています。

 

よって保護者のお口の中に放置された虫歯があるような場合は、要注意、要治療ですし、お子さんに口移しで食物を与えたり、スプーンを共有しないほうが良いです。

次々に虫歯ができてしまう方は、食事や間食を見直してみる必要もあると思います。特に、お砂糖がたくさん含まれている缶コーヒー等をちびちび飲みながらお仕事や勉強されている方は、長時間お口の中に砂糖があることになるので要注意です。

 

イオン飲料(スポーツドリンク)は、なんとなく健康に良いイメージがあるかもしれませんが、かなりの糖分を含んでいますので
注意したほうがよいと思います。

5-3 神経を取ると歯が弱くなると聞きましたが本当ですか?

はい。一般的にはそう言われますし、私自身の実感としてはやはり神経を取ってしまった歯(無髄歯ーむずいしと読みます)は割れやすいです。

 

一般的にとお断わりしたのは、「無髄歯は必ずしも弱くならない」という文献を読んだことがあるからです。でも、、、、やはり割れやすいと思います。無髄歯は変色するので、前歯の場合だと審美的な問題も起きてきます。
 
通常「神経」と呼んでいるのは専門的には「歯髄(しずい)」と呼ぶ部分で神経以外にも血管や免疫を担当しているリンパ組織ほかが含まれます。歯を生かしておくために重要な働きをしているのが歯髄だと言えます。

5-4「親知らず」は必ず生えてくるのですか?生えてきたら抜かないといけませんか?

親知らずのある方と無い方がおられます。あっても親知らずが生えてこないで骨の中に埋まっている場合もあります。

親知らずを抜くかどうかはケースバイケースで、歯科医によっても様々な考え方があると思いますが、私自身は親知らずがその患者さんに害を及ぼしているようであれば抜歯をお勧めすることが多いです。


親知らずがあることで手前の歯が虫歯になってしまったり、頬の内側を咬んで痛みを生じていたり、歯並びを悪くしている原因になっているような場合です。

親知らずを、既に失ってしまった別の歯の位置に移植できる場合もありますので、必ずしも抜かなくてもよいと思います。

一方、体調が不良になったり過労気味になると必ず親知らずが腫れてしまうような患者さんが海外へ転勤になったり、海外へ長期留学するような場合は、抜いてしまったほうがよいかもしれません。現地で意思の疎通がはかれる歯科医を探すのは大変なのではないかなという極めて個人的な推測ですが。

<6.口臭について>

上記写真:「歯科医と口臭恐怖症」

口臭治療専門医・川俣先生の研究に関わらせていただいています

(クリックすると大きく表示します)

6-1 口臭の原因はどういう物質ですか?

 

原因物質はVSC(以下で説明)と呼ばれる硫黄化合物です。

VSCは、歯肉などからはがれ落ちた“細胞の残骸”や私たちが口に入れた食物、白血球などに、口腔内(お口の中)の細菌が出した酵素が作用して産生されます。
口腔内で最も多くVSCを産生する場所は、舌の表面の後方に堆積した舌苔(ぜったい)です。

VSC:

口腔内の気体から検出される“主な臭い物質”である揮発性硫黄化合物(VolatileSulfurCompounds、略してVSC)には、硫化水素、メチル・メルカプタン、ジメチル・サルファイドの三種がある。

6-2 歯垢(=プラーク)は口臭の原因ではないのですか?

従来、歯垢が歯周病の口臭の原因とされてきましたが、現在では歯周病による口臭も、主な発生源は舌苔であることが分かってきました。ですから、口臭を除去するには、原因である舌苔を舌の清掃により取り除くことが最も効果的です。

ただし、歯周病を起こし悪化させる細菌には、VSCを産生する能力の高いものがありますので、歯垢は口臭の間接的原因と考えてよいでしょう。
また、舌の清掃の際に力を入れすぎて舌を傷つけて出血させてしまうことはかえって口臭を強くしてしまうので、気をつけてください。

6-3 消化器系の病気になると口臭がでると聞いたことがありますが?

 

2;他の病気と口臭:口腔以外に口臭の原因がある場合、VSC以外の物質が口臭原因物質として検出されることがある。例えば、糖尿病、肝機能障害、腎機能障害、副鼻腔炎、気管支拡張症、肺ガン、肺結核など。

ただし、いずれの病気の場合も、その病気自体が、かなり重い(重篤)な場合にのみ認められる。

6-4 実際には口臭が無いにもかかわらず、自分の口臭が気になってしかたないと感じる状態があると聞いたことがありますが?

 

それは口臭恐怖症という病気かもしれません。
歯科心身症の項を参照してください。

 

(参考文献)
「口臭診療マニュアル」(第一歯科出版 2007年刊行)
「臨床家のための口臭治療ガイドライン」(クインテッセンス出版2000年刊行)

<7.妊娠と歯科治療について>

 

7-1 妊娠と歯科治療について教えてください


妊娠の全期間において、原則として応急処置以外の歯科治療は行わないほうがよいとされていますが、私自身は例えば「前歯が折れてしまった」などの場合のほか、治療することが妊婦さんに有益かつそれほどのストレスにならないであろう場合には応急処置から一歩進んだ程度は治療しています。

 

ただし、歯の根っこの治療の場合において、治療したことで(今まで腫れも痛みもなかったのに)腫れてしまったり強い痛みが出てしまう可能性がある時は治療は行いません。もちろん抜歯もしません。
一般的には、どうしても歯科治療を必要とする場合は妊娠中期を選択するとされています。
局所麻酔薬は、通常使量でしたら母子•胎児ともに影響はありませんが、比較的ポピュラーな麻酔薬「歯科用シタネストーオクタプレシン」に含まれている成分には分娩促進作用があるため、使用は控えたほうがよいようです。

7-2 妊娠と歯科治療に使われる薬について教えてください


歯科で使われる鎮痛薬や抗生物質で「絶対安全!」という薬は残念ながらありません。特に妊娠13週までは薬物の使用は避けた方がよいようです。
ただし激しい痛みを我慢しているのも、かえって胎児に悪い影響を与える可能性があります。
ですから、薬の説明書に書かれている「治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ使用する」ことが重要です。

 

比較的安全なのは、抗生物質ではメイアクト、鎮痛薬ではカロナールだとされています。主治医および主治歯科医と十分話し合ってください。

7-3 妊娠中にみられる歯科疾患


有名なのは「妊娠性歯肉炎」でしょう。歯肉が充血したり赤く腫れて、歯ブラシをすると出血します。妊娠自体が原因なのではなく、もとからある歯垢(=プラーク)による歯肉の炎症が、妊娠による女性ホルモンの影響で悪化したものと考えられています。唾液中の女性ホルモンは妊娠初期より増加して9ヶ月でピークになりますが、それにともなってPrevotella intermediaという細菌が唾液中に多く検出されるようになります。

また、妊娠4ヶ月くらいまでに、健全な歯(虫歯のない歯)に痛みを感じることがあり「妊婦性歯痛」と呼ばれる症状がでることがあります。歯髄の血管が充血するためで、食事の時やブラッシング時に複数の歯に痛みを感じます。

7-4 授乳と歯科治療について教えてください


母乳に移行しない薬は無いと考えてよいようです。局所麻酔も同様です。


「もし麻酔が必要で、しかもどうしても心配ならば、局所麻酔後4~5時間は授乳しないこと、もっと心配ならば、前もって搾乳し冷蔵庫に保存したものを与えることにし、麻酔をした当日の授乳をやめる」という方法が参考文献に
載っていました。

 

授乳中の服薬については、母乳に移行しにくい薬で、しかも乳児に比較的安全とされるものを選ぶことが望ましいでしょう。例としては、妊娠中と同様、メイアクトとカロナールが推奨されています。

参考文献:「新 妊婦•授乳婦の歯科治療と薬物療法」(砂書房/2009年刊)
「ペリオドンタル メディシン」(石川県保険医協会編集/2002年刊)

<8.その他>


8-1 上の歯の虫歯が原因で下の歯が痛んだり、頭痛がするのはどうしてですか?

すべての頭痛が歯科の領域に関係しているわけではありませんが、片頭痛が歯や顎関節の痛みとして感じられることがあります。

歯の痛みと頭痛(の一部)を感じる神経は脳神経のひとつ「三叉神経」という神経です三叉神経(さんさしんけい)は文字通り三本に枝分かれした神経で、

 

1番目の枝(黄色):目から上の皮膚、脳を包む膜

2番目の枝(水色):上顎の歯と歯肉、目と上唇の間の皮膚
3番目の枝(桃色):下顎の歯と歯肉、下唇から下顎の皮膚

 

にそれぞれ分布して痛みを感じます。

 

正常時には三本の枝からどんなに多くの情報が入ってきても脳ではどの情報がどこから送られてきたのか正確に認識できるようになっていますが、虫歯の 痛みのように身体に危害が加えられていることを知らせる警告信号が慢 性的に続くと、神経系が全体的に過敏に反応してしまい、混乱が生じた結果、歯が原因である痛みを頭痛と感じてしまうことがあります

その逆に、頭痛の場合に歯痛を感じることがあります。

上の歯の虫歯が原因で下の歯に痛みを感じるのも同様のメカニズムです。

8-2「酒飲み」は本当に麻酔が効きにくいのでしょうか?


歯科の麻酔は局所麻酔です。(全身麻酔ではなく)

 

局所麻酔の効果に大きな影響を与えるのは、麻酔をする場所に炎症が起きているかいないかです。炎症の起きている場所は酸性に傾いています。pHが下がると(酸性になると)麻酔は効きにくくなります。 また、炎症部位では、浮腫などのため組織液が貯留して、このことも局所麻酔を効きにくくしています。
  
さて、問いの「飲酒と麻酔」についてですが、多量の飲酒歴がある場合は、エタノールを分解するための酵素の合成が盛んになっています。
ですから、静脈麻酔薬などの全身麻酔薬は分解されやすく、その結果麻酔が効きにくいということがあります。

 

ところが、局所麻酔の効果に影響を与えるのは、肝臓ではなくて麻酔をした局所での局所麻酔薬の分解速度ですので、歯科で使われる局所麻酔は、飲酒による影響は受けないと思われます。

 

(参考文献:歯界展望vol.105 2005-5)

8-3 自費治療の料金について教えてください。


自費診療の料金はケースによって異なるので一概には言えないのですが、審美治療は前歯は¥80,000より、奥歯は¥36,000より、インプラントは最終処置まで含み¥300,000より、違和感が少なく金属色の目立たない入れ歯は¥250,000より、といったのがおおまかなところです。