私は完全にインドア派で、暇があれば本を読むか、音楽を聴くか、楽器を弾いています。
とは言え、なかなか自分の時間が持てないのは世のお父様たちと同じ。
自宅とクリニックの往復に使う東横線社内および駅で電車を待っている時間は
貴重な読書タイムです。クリニックでは歯科関係の学術書(大判で重い!)を
読み、自宅ではこれまた持ち歩き困難な分厚い本を読み、
電車の中では薄めの新書や文庫を読む、、、、、、
こうしてみると私は活字中毒なのかもしれません。
さて、ここ数ヶ月の“出勤の友”を振り返ってみますと、
講談社新書の「対人恐怖」「青年期の心」「異常とは何か」、
ちくまプリマー新書の「君も精神科医にならないか」、
PHP新書の「子供の脳が危ない」、
NHKブックスの「日本人に合った精神療法とは」、、、、、
我ながら「どれだけ人の心に興味があるんだよ」と
言いたくなる方向性ですが、実際興味があるのだからしかたありません。
いずれの本も面白く、知的好奇心を満たしてくれました。そして、それは
歯科医として患者さんに接する上でも大いに役立ってくれているように感じます。
特に「日本人に合った精神療法とは」は勉強になりました。精神科医である
町沢静夫さんの本は今までにも読んだことがありましたが、精神療法というのに
こんなにもバリエーションがあることは初めて知りました。
私は歯科医として毎日のように患者さんと接していて、
患者さんのことを理解しようと努めているわけですが、それは決して簡単な
ことではないのだと、「分かったような気になってはいけない」と思いました。
日本人に特異的に多いという「対人恐怖」や「自己臭恐怖症」の患者さん。
我々歯科医の日常でも気づかないうちに実は出会っているのだろうと
思います。(気づく場合ももちろんありますし)
虫歯がある>削ってそこをプラスティックや金属で埋める、、、、、
そんな日常的な行為についても、その虫歯を持っているのは「心を持った人間」
であることを忘れてはいけないと思います。
審美歯科の分野で「歯肉より何ミリ下まで削るか」「どういう方法が一番綺麗か」
「接着剤は何を使うか」
といった議論はもちろん大切だとは思うのですが、「醜形恐怖症」について
熟知していないと、いや熟知していないまでも大体のことは知っておかないと、
それは患者さんにとっても歯科医にとっても不幸な結果を招くでしょう。
色々なことを考えさせてくれる本、まさに良書でした。
「日本人に合った精神療法とは」が、あまりにも素晴らしい本だったので、
その余韻を楽しむために、その後の“通勤の友”は別なジャンルから選びました。
ハンガリーの作曲家「バルトーク」、私も大好きな作曲家ですが、バルトークは
民族音楽収集家・研究家としてもかなりの功績をあげました。この本は、
民族音楽研究家としてのバルトークについて書かれた本で、民族音楽愛好家の
私が数年前に買い、「いつか読む本」として自分の部屋に積み上げていた本です。
10月に横浜紅葉坂にある県立音楽堂で約10年振りに「ブルガリアンボイス」の
コンサートを観てから、私の中で東欧の民族音楽が所謂マイブームです。
昔は民族音楽のレコードやCDを探すのは大変でしたが、今はネットで
どんどん検索でき、試聴もでき、どれもこれも欲しくなってしまいます。
家族の眼が怖いのでCDの送付先を自宅でなく清水歯科にして(笑)、
昼休みや診療終了後にどっぷりとブルガリアの音楽に浸るのが、
現在の私の一番の楽しみであり心の健康法です。
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