●解剖学およびウェルエイジングの学術講演会

 6月14日(土曜日)の夕方から、青葉区の歯科医師会が主催した学術講演会に出席してきました。

講師は、東京歯科大学解剖学教授・阿部伸一先生。
私が歯科大時代に使った全五巻の解剖学の教科書は、東京歯科の上條先生のモノだったし(これは今でも時々紐解く名著です)、実際に教えていただいた横地教 授もたしか東京歯科の出身、2011年には、当時の解剖学教授の井出先生の「摂食:嚥下のメカニズム」という研修会に出席しているので、私の解剖学的知識 は東京歯科の先生によって形作られたと言えるかもしれません。

私の母校では、大学3年の後期から全身の解剖実習があり、5年の前期に希望者だけ
頭部(当然、口腔や顎関節も含む)の解剖実習が受けられました。
もちろん、5年の時に私は頭部の実習も受講しました。でも、その頃学生ですから、実際には患者さんを診ていないので、いかにその実習が貴重で大切なものかは全く分かっていなかったと思います。
実習を希望しなかった学生にとっては空き時間なので、
「清水、お茶でも飲みにいこうよ」と誘われた時には、実習を希望したことを
ちょこっと後悔したかもしれません、何しろ、ガキでしたから。

今私は歯科医になって32年経つ訳ですが、日々の臨床をしていて解剖学、組織学、
生理学、病理学といった基礎医学の重要性をヒシヒシと感じます。特に、解剖学。
顎関節のこと、痛みの伝統経路などについて患者さんに説明しながら、

「あ、ここ、自分もあやふやだ」と感じることも正直言ってあります。
もう一度、あの頭部の解剖実習ができたら、どれだけ役に立つことでしょう。
見学だけでもさせてもらえないのかなあ?

まあ、そういう訳で、せめて知識をアップデートしようと、
診療終了後に解剖学の講演会に出かけて行きました。

第一部は、神経の走行(脳から降りてきた神経が、どんなふうに分布しているか)
についてで、大変勉強になったのですが、内容がここに書くには専門的なので
省略します。

第二部は、ウェルエイジングの話でした。
口の周りの筋肉の老化が、どのように咀嚼や嚥下に影響するかという内容で、
知らないことも多くあり、こちらも勉強になりました。
その中で、皆様にも簡単にできる口の周りの筋肉のトレーニング方を
お伝えします。

使うのは、500ccのペットボトルなのですが、割りとしっかりしたペットボトルではなく、ものすごく薄くて、すぐにクシャッとつぶれてしまうような素材。
例えば「いろはす」、あるいはコストコで販売している(私がコストコ愛用者であることがバレてしまいますね)ROXANEというミネラルウォーターのような
薄いペットボトルがよさそうです。
そういうペコペコ・パリパリした頼りなげな空のペットボトルをお口にくわえ、
ペットボトルを膨らめたりへこませたりするくらいの強さで
息を吹き込んだり吸い込んだりすることで、口の周りの筋肉が鍛えられるそうです。ぜひ、やってみてください。

口の周りの筋肉の中で、もっとも大きいのは頬筋(きょうきん)ですが、
この筋肉は、お口に入った食物をうまい具合に歯の上に乗せるのにも役立つと
同時に、皮膚の張りにも関与するので、お口の周りの(見た目の)若々しさにも
関与しているようです。

とても興味深く、これまで私の勉強が足りない分野だったので、阿部先生のご著書などを読んで、これから学んでみようと思っています。

 私と大変親しい歯科医が、今年の3月からいわゆる訪問診療をし始めたため、
そのあたりの情報が入ってくるようになりました。
その女性歯科医は、義歯の型取り、咬み合わせの作り方などについて、
私に質問してくるのですが、彼女から聞く訪問診療の現実に驚くとともに
とても勉強になっています。

私のクリニックには、3ヶ月、あるいは半年の定期健診にきちんといらっしゃる
患者さんがとても多いです。どこも痛くないのに、ご自分の健康のために時間の
都合をつけて来院される患者さんは本当に偉いなあと思うし、こちらも襟を正して診察しなくてはと感じます。もう25年以上、定期的に拝見している方もおられます。

でも、いつの日にか、そうした方の中で、ご高齢のために、あるいはご病気の
ために当院に来ることができなくなる方も出てくるでしょう。
訪問診療の大掛かりなシステムを購入することは私にはできませんが、
実際先月、以前はずっと当院に通われていた患者さんから依頼があり、
私としては数年ぶりに訪問診療したこともあって、
そうした患者さんのために何ができるか、
私も訪問診療について少しづつ学んでいかないといけないなあと感じています。